全粒粉はグルテンフリーではありません。
小麦粉と同じ原材料の小麦から作られているので、小麦粉同様にグルテンが含まれています。
全粒粉に含まれるグルテンについて、詳しく見ていきましょう。
全粒粉のグルテン含有量は?/小麦粉との違い
全粒粉は小麦粉よりもグルテン量が少ない
グルテンは小麦粉に含まれるたんぱく質から作られます。
全粒粉と小麦粉のたんぱく質量を比較すると
- 全粒粉
-
12.7g
- 強力粉
-
11.8g
- 薄力粉
-
8.3g
と、全粒粉の方が多く含まれており、一見すると全粒粉の方がグルテンが多く作られるように見えます。
しかし、グルテンはたんぱく質に含まれる『グルテニン』『グリアジン』と『水』が結合して形成されます。
全粒粉は表皮などの殻が含まれている分、小麦粉に比べて水分を吸いづらい特徴があります。
そのため、グルテンのもととなる水分が小麦粉よりも吸収されず、小麦粉パンよりグルテン量が少なくなるのです。
全粒粉はグルテンと豊富な栄養が含まれる
全粒粉に豊富に含まれる栄養素は
- 食物繊維
- ビタミンB類
- ミネラル
- 鉄分
まず食物繊維を100gあたりで小麦粉と比較すると
- 全粒粉(強力粉)
-
11.2g
- 強力粉
-
2.7g
と、4倍以上の差があることがわかります。
食物繊維は小麦の表皮に特に多く含まれています。
表皮は小麦粉では取り除かれている部位のため、表皮を含む全粒粉の方が食物繊維が豊富です。
参考:
全粒粉(強力粉) -一般成分表|食品成分データベース
強力粉 – 一般成分表|食品成分データベース
次にビタミンB群を100gあたりで比較すると、
- 全粒粉
-
0.89mg
- 強力粉
-
0.19mg
- 薄力粉
-
0.17mg
と、全粒粉が大幅に高いことがわかります。
小麦の部位である「胚芽」にビタミンやミネラル、脂質やタンパク質などの栄養素が凝縮されています。
胚芽も小麦粉では取り除かれているため、胚芽ごと挽いている全粒粉の方が多く含まれているのです。
参考:
全粒粉(強力粉) -一般成分表|食品成分データベース
強力粉 – 一般成分表|食品成分データベース
薄力粉 – 一般成分表|食品成分データベース
全粒粉はグルテンフリー食品ではないので注意
全粒粉はグルテンフリー食品ではない
全粒粉にはグルテンが含まれているので、グルテンフリー食品ではありません。
グルテンにアレルギーがある方や、グルテンフリーを実践している方は気を付けた方が良い食品です。
全粒粉は小麦粉と同じアレルギー症状が出る
全粒粉は小麦粉を挽いて作られています。
そのため、小麦粉でアレルギー症状が出る方は全粒粉でもアレルギー症状が出るので注意が必要です。
全粒粉とライ麦のグルテン量の違い
全粒粉より
ライ麦の方がグルテン量が少ない
厳密に言うと、ライ麦はグルテンをほとんど形成できません。
グルテンのもととなるたんぱく質である『グルテニン』と『グリアジン』のうち、『グリアジン』が含まれていないためです。
しかし『グリアジン』によく似た『セカリン』という成分が含まれ、この『セカリン』がグルテンをわずかに形成します。
全粒粉や小麦よりは少ないですが、グルテンフリー食品ではないので注意が必要です。
ただし、ライ麦はヘルシーで栄養があり全粒粉と似ていますが、イネ科の植物なので小麦類とは別物です。
小麦アレルギーでグルテンは摂取しても平気な方は、全粒粉の代わりにライ麦のパンやお菓子を選ぶのもおすすめです。
市販のパンは小麦粉が混ざった100%でないライ麦パンも多いので、気を付けて選びましょう。
グルテンフリーは意味がない?デメリットと効果
グルテンフリーは
体質によって効果の有無が異なる
グルテンフリーで効果が出るかどうかは、その人の体質によって変わります。
『セリアック病』や『グルテン不耐症』の人がグルテンフリーを実践すると、体調が良くなるなどの効果が見られます。
対して、グルテンにアレルギーがなく摂取しても平気な方が実践しても、話題になっているような目立った効果が得られず「意味がない」と感じてしまうこともあります。
グルテンフリーとは本来『セリアック病』や『グルテン不耐症』と言った、グルテンが体質に合わない、アレルギーがある人向けの食事法です。
牛乳を飲むとお腹を壊してしまう体質の人がいるように、グルテンを摂るとお腹を壊したり、体調が崩れる体質の人もいます。
しかし、わかりやすい牛乳と違って、小麦粉は多くのものに含まれています。
また、重度のアレルギーでない場合、グルテンが体質に合わないことに気付きづらいです。
そのため、グルテンフリーを実践してみて体調が良くなって初めて、自分はグルテンが合わない体質だったと気付くケースもあります。
グルテンフリーのデメリット
グルテンフリーのデメリットは
- 食べられるものが少なくなる
- 食事での栄養に偏りが出る
グルテンを避けること自体が健康に悪いといったデメリットはありません。
しかし、小麦粉は多くの食品に含まれているため、小麦を含む食品を避けようとすると食べられるものが少なくなってしまうデメリットがあります。
パンやパスタなど小麦粉でできた食品から、市販のカレーやシチューのとろみづけまで、小麦粉は幅広く使用されています。
パンとパスタが食べられないと、主食の選択肢が一気に狭まってしまいます。
またスーパーやコンビニのお弁当・お惣菜にも含まれていることが多く、外食でも食べられるものがほとんどない状態になってしまうことも。
食べられるものが少なく、好きなものが食べられないストレスで、かえって健康を損なってしまうこともあるので注意が必要です。
今まで小麦粉から得られていた栄養素(ミネラル・食物繊維・鉄分)を他の食品で補う必要もあります。
小麦粉を使わない食品を選ぶことで食べるものに偏りが出る=栄養バランスも偏る可能性もあります。
グルテンフリーを実践するなら、栄養面には特に気を付けて実践する必要があります。
全粒粉100%でも膨らむ!グルテン粉不要のホームベーカリーパン&お菓子レシピ
レシピ:HB☆100%全粒粉メープルシロップパン
このレシピではホームベーカリーを使用しています。
全粒粉100%でもフワフワに膨らむパンレシピです。
砂糖の代わりにメープルシロップを使用しているため、小麦粉・砂糖のみ使用したパンより栄養価が高くなります。
レシピ:全粒粉100%のパン(HB使用)
このレシピでは生地作りの工程でホームベーカリーを使用しています。
全粒粉100%でもふわふわのロールパンのレシピです。
焼きたての外側はパリッとしまていますし、さめてもふわふわなままなのもうれしいですね!
レシピ:全粒粉と米粉の素朴なカップマフィンケーキ
全粒粉と米粉で作るヘルシーなマフィン。
シンプルで素朴な材料で作れるので、お子さんのおやつにもピッタリ。
ナッツやドライフルーツなど、アレンジも楽しめるレシピです。
全粒粉とグルテンについてのまとめ
この記事では「全粒粉とグルテン」についてまとめました。
全粒粉は小麦の胚乳・表皮・胚芽を丸ごと製粉したもの。
グルテンは小麦の胚乳部分にあるため、全粒粉にはグルテンが含まれています。
グルテンフリーを実践したい人や、小麦アレルギー・グルテンアレルギー持つ人は、全粒粉の摂取には注意が必要です。
またヘルシーなイメージがある「ライ麦」にも、グルテンに似たタンパク質の成分が含まれているため、グルテンフリーとは言えません。
一方、全粒粉やライ麦のグルテンの配合量は、小麦粉と比べてグッと少なく、栄養価が高いといった特徴もあります。
グルテンは膨らみや粘り気を出す役割がありますが、全粒粉やライ麦など、グルテンの配合が少ない粉で作られたパンは、膨らみにくくずっしりとした食感になります。
上記に自宅で作れる、全粒粉パン・お菓子ののレシピを紹介しているので参考にしてみてくださいね。