全粒粉は栄養が豊富/栄養素の特徴や効果について

目次

全粒粉に含まれる栄養素と特徴

全粒粉は小麦粉に比べて栄養素がたくさん含まれているのが特徴です。

  • 食物繊維
  • ビタミンB類
  • ミネラル
  • 鉄分

それぞれの栄養素の効果について、詳しく見ていきましょう。

全粒粉パンは食物繊維が豊富

全粒粉パンに含まれる食物繊維は
小麦粉パンの約4倍

100gあたりで比較すると

全粒粉(強力粉)

11.2g

強力粉

2.7g

と、4倍以上の差があることがわかります。

参考:
全粒粉(強力粉) -一般成分表|食品成分データベース
強力粉 – 一般成分表|食品成分データベース

小麦の表皮には食物繊維が豊富です。

小麦粉は小麦の胚乳部分だけの製粉に対し、全粒粉は表皮や胚芽も含めた小麦を丸ごとのため、食物繊維の含有量が4倍も高くなります。

食物繊維は腸内環境を整え便通を改善する効果があります。
また食後の血糖値の上昇を抑える役割もあり、太りにくい体質作りにも役立つと言われています。

主食を小麦粉のパンから全粒粉パンに置き換えるだけでも健康改善に効果的です。

全粒粉に含まれるビタミンと効能

全粒粉に含まれるビタミンB群は
強力粉の約4.5倍
薄力粉の約5倍

100gあたりで比較すると、

全粒粉

0.89mg

強力粉

0.19mg

薄力粉

0.17mg

と、全粒粉が大幅に高いことがわかります。

参考:
全粒粉(強力粉) -一般成分表|食品成分データベース
強力粉 – 一般成分表|食品成分データベース
薄力粉 – 一般成分表|食品成分データベース

ビタミンB群の中でも特に、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6が多く含まれています。

小麦の部位である「胚芽」にビタミンやミネラル、脂質やタンパク質といった栄養素が凝縮されています。

全粒粉は小麦をまるごと挽いたもので「胚芽」も含まれているので、「胚乳」だけを挽いた小麦粉よりもビタミンが豊富です。

小麦の構造を説明する画像

ただし全粒粉にはビタミンCは含まれていないため、ビタミンCは他の食品から摂取する必要があります。

全粒粉の栄養とカロリー/脂質もタンパク質も多い

全粒粉は強力粉・薄力粉より

  • カロリーが低い
  • 脂質が多い
  • タンパク質が多い

まず、カロリーを100gあたりで比較すると、

全粒粉

320kcal

強力粉

337kcal

薄力粉

349kcal

と、わずかですが全粒粉が一番低いことがわかります。

次に、脂質を100gあたりで比較すると、

全粒粉

2.9g

強力粉

1.5g

薄力粉

1.5g

と、全粒粉は小麦粉より多いことがわかります。

最後に、たんぱく質を100gあたりで比較すると

全粒粉

12.8g

強力粉

11.8g

薄力粉

8.3g

と、全粒粉がもっとも多く含まれていることがわかります。

参考:
全粒粉(強力粉) -一般成分表|食品成分データベース
強力粉 – 一般成分表|食品成分データベース
薄力粉 – 一般成分表|食品成分データベース

カロリーが低く、たんぱく質も豊富で健康に良いと言われる全粒粉ですが、意外にも脂質は小麦粉より多く含まれています。

ただし、小麦粉が脂質や糖質だけが多い小麦粉と違い、全粒粉には食物繊維やビタミンBなど他の栄養素も豊富に含まれています。

そのため、脂質だけでなく他の栄養もバランスよく摂ることができる食材として、健康にいいと言われているのです。

全粒粉パンのgi値と糖質を小麦粉のパンと比較

小麦粉と比較すると、全粒粉の方が

  • gi値が低い
  • 糖質が低い

食後の血糖値の上昇度を示す指標であるgi値は、

全粒粉パン

GI値50

小麦粉食パン

GI値90

と、全粒粉が半分近い数値であることがわかります。

参考:
絵で見て知る全粒粉 | 日清製粉グループ

また、糖質を100gあたりで比較すると、

全粒粉

57.4g

強力粉

69.0g

薄力粉

73.3g

と、全粒粉が低いことがわかります。

参考:
全粒粉 – 一般成分表|食品成分データベース
強力粉 – 一般成分表|食品成分データベース
薄力粉 – 一般成分表|食品成分データベース

強力粉・薄力粉の糖質が高いのは、胚乳にでんぷん(糖質)が多く含まれているためです。

対して全粒粉の糖質が強力粉・薄力粉に比べて低いのは、小麦粉で取り除かれる「表皮」「胚芽」に食物繊維が多く含まれているためです。

全粒粉は同じ量でも小麦粉より食物繊維の割合が多く、でんぷん(糖質)の割合が少なくなるため糖質が低くなるのです。

全粒粉に含まれる栄養の効果・効能

全粒粉に含まれる栄養は

  • 血糖値の上昇を抑える
  • ダイエットに効果的
  • 美容にも効果がある
  • 腸内環境を整える

なぜこれらの効果があるのか、詳しく見ていきましょう。

血糖値の上昇を抑える効果

全粒粉は小麦粉よりGI値と糖質が低いです。

GI値が低いと、太りにくくなる効果や糖尿病の予防の効果が期待できます。

GI値

50

糖質

57.4g

GI値が低いと糖の吸収が穏やかになり、血糖値の上昇も抑えられるためです。

GI値は血糖値の上昇度を示す数値で、
70以上の食品を高GI食品
55以下の食品を低GI食品

と言われています。

血糖値の上昇具合が急だとインスリンが大量に分泌されます。

その働きにより糖を体に溜め込んでしまうようになり、太りやすくなります。

また、全粒粉に含まれるビタミンB1は糖の分解を助ける働きがあります。

糖が分解されやすくなることで糖が溜め込まれにくくなり、太りにくくなる効果が期待できるのです。

ダイエット効果がある

全粒粉にダイエット効果があるのは、

  • 満腹感を得やすいから
  • 余計な間食を防げるから
  • 糖の分解を助ける働きがあるから

全粒粉パンは小麦粉パンよりも噛み応えがあり、満腹感を得やすく持続しやすいのが特徴です

全粒粉には小麦の表皮が含まれており、これがザクザクと噛み応えある食感になっています。

また豊富な食物繊維によりどっしりして食べ応えもあり、少ない量でも満足しやすくなります。

食物繊維は消化吸収に時間がかかるため、満足感も長く持続します。

そのため、余計な間食も防ぐことができます。

美容にも効果がある

全粒粉の栄養素による美容効果は

  • 肌荒れ防止
  • むくみ解消

全粒粉に含まれるビタミンB群が肌荒れを防止が期待できます。

ビタミンB2はお肌のターンオーバーサイクルを整えるのを助ける働きがあります。

お肌のターンオーバーが乱れると肌トラブルが起きやすくなるので、ビタミンB2を摂ることで肌荒れを内側から防止することができます。

また、全粒粉に含まれるカリウムにはむくみ防止の効果があります。

ほかにも余分なナトリウムを排出して血圧を下げる効果など、健康への効果も期待できます。

腸内環境を整える

食物繊維には腸内環境を整える作用があります。

食物繊維は腸内で細菌のえさとなり、腸内細菌が善玉菌として育つ手助けをします。

また水分を吸収して腸内で膨らむので、お通じを促す効果も期待できます。

注意!全粒粉はグルテンフリーじゃない

  • 全粒粉はグルテンフリー食品ではない

全粒粉はグルテンフリーの食品ではありません。

小麦を挽いて作られているので、小麦粉同様にグルテンが含まれています。

グルテンフリーを実施する際は、全粒粉は食べないように注意しましょう。

ただし、小麦粉より糖質は低いので糖質制限には向いている食品です。

パンを食べたいとき、全粒粉パンに置き換えれば、摂取する糖質をぐっと減らせます。

全粒粉のデメリットは?

  • 小麦粉より残留農薬のリスクが上がる
  • フィチン酸が体に悪いと言われる
  • 消化に時間がかかる

全粒粉は小麦粉に比べると残留農薬のリスクが高くなります。

特に輸入品の場合は『ポストハーベスト』と呼ばれる『収穫後に農薬を散布する処理』が行われています。

ただし輸入時に農林水産省が厳しく定めた基準に沿って検査しているので、仮に農薬が検出されたとしても健康に害はありません。

それでもどうしても心配な場合は、国産のものを選ぶのが良いでしょう。

参考:
残留農薬|厚生労働省
パンにグリホサートが残留していると聞きましたが、大丈夫ですか?

また全粒粉には『フィチン酸』という、ビタミンやカルシウムなどを排除してしまう働きを持つ成分が含まれています。

フィチン酸は

・抗酸化作用
・血栓予防
・貧血予防

など、健康にプラスの効果がある成分です。

玄米や米ぬかなど健康や美容に良いと言われる食品にも含まれており、適度に摂取する分には良い成分です。

そのため、パンを全粒粉のものに置き換えて取り入れる程度の摂取量であれば心配するほどの量ではないとされています。

食物繊維が豊富で腹持ちが良いのは一見するといいことづくめですが、
胃腸が弱い方にとってはそれが負担になってしまうこともあるので注意が必要です。

全粒粉100パーセントのヘルシーパン・お菓子レシピ

全粒粉の恩恵を最大限に受けるなら、全粒粉パンやお菓子を手作りするのがおすすめです。

普段のパンを全粒粉に置き換えることで、
ダイエット効果もあるヘルシーな食事に早変わりします。

ただし市販の全粒粉パンは全粒粉があまり含まれていなかったり、砂糖や添加物がたっぷりだったりと、小麦粉パンやお菓子とあまり変わらないこともあります。

全粒粉100パーセント、バター不使用で脂質控えめ、メープルシロップを使った優しい優しい甘さのレシピを紹介します。

レシピ:全粒粉100%クッキー

全粒粉100%クッキーの画像(引用:cookpad)
引用:cookpad

卵・バター不使用で素朴な味わいが楽しめるクッキーレシピです。
ザクザクとした食感で噛みごたえも十分!
罪悪感も少ないおやつです。
ナッツやごまを入れれば、更に香ばしさを味わえそうですね。

詳しいレシピを見る(cookpad)

レシピ:HB☆100%全粒粉メープルシロップパン

引用:cookpad

このレシピではホームベーカリーを使用しています。
全粒粉100%でもフワフワに膨らむパンレシピです。
砂糖の代わりにメープルシロップを使用しているため、小麦粉・砂糖のみ使用したパンより栄養価が高くなります。

詳しいレシピを見る(cookpad)

国産全粒粉は富澤商店で買える

国産全粒粉の取り扱いなら富澤商店が豊富です。

一般的な全粒粉はじめ、パン用の全粒強力粉など幅広く取り扱いがあります。

特徴や向いているパンの種類など、おすすめの国産全粒粉を紹介しています。

「全粒粉の栄養」についてのまとめ

この記事では「全粒粉の栄養」についてまとめました。

全粒粉は表皮や胚芽を含む小麦を丸ごと製粉したもので、茶色の粉で、粗めなのが特徴です。

そんな全粒粉の栄養素には、食物繊維やビタミン・ミネラルなどが豊富に含まれています。

例えば食物繊維は、腸内環境を整える作用があり、美容に嬉しい効果があるでしょう。

そしてビタミン・ミネラルが豊富に含まれることによって、体の調子を整えやすくなります。

その他の栄養素としては、鉄分が含まれているため、貧血対策にもおすすめです。

また全粒粉で作られたパンは、小麦粉とくらべて噛み応えがあるため、咀嚼回数が増えて少量で満腹感が得やすくなります。

市販の全粒粉パンは添加物が気になる人は、上記に紹介したレシピを参考にしてみてください。

目次