全粒粉(ぜんりゅうふん)は小麦を挽いて作られており、小麦粉とは下記の違いがあります。
全粒粉は小麦粉と比べて
- 使われている部位が多い
- 味が香ばしい
- 見た目が茶色い
- 栄養価が豊富
- カロリー・糖質・gi値が低い
それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
全粒粉と小麦粉・薄力粉との違い
全粒粉と小麦粉の違いをひとつずつ見ていきましょう。
全粒粉には、小麦粉と違い
「胚芽」「表皮」が使われている
全粒粉は小麦をまるごとを挽いたものです。
小麦は「胚乳(83%)・表皮(15%)・胚芽(2%)」で構成されています。
小麦粉は、小麦の胚乳のみを挽いたものですが、全粒粉には胚乳・表皮・胚芽すべてが含まれています。
なじみ深いお米でたとえると全粒粉が「玄米」、小麦粉が「白米」のようなものです
また全粒粉は小麦粉に比べて、茶色っぽく香ばしくなっています。
それは、表皮や胚芽の部分が茶色く独特な風味をもっているためです。
栄養素・カロリー・糖質・GI値の比較
全粒粉に下記の栄養素が含まれています。
- 食物繊維
- たんぱく質
- ビタミンB類
- ミネラル
一方で小麦粉は、ビタミンやミネラルなどの栄養素は微量です。
全粒粉の栄養素の含有率は、小麦粉と比べ、
・鉄、カリウムは約3倍
・マグネシウム、食物繊維は約4倍
も含まれています。
全粒粉は小麦粉と比べると
- カロリーが約10%低い
- 糖質が約20%低い
- gi値が40低い
カロリーを100gあたりで比較すると
- 全粒粉
-
320kcal
- 小麦粉(薄力粉)
-
349kcal
と、全粒粉の方が低いことがわかります。
糖質を100gあたりで比較すると
- 全粒粉
-
57.4g
- 小麦粉(薄力粉)
-
73.3g
参考:
全粒粉 – 一般成分表|食品成分データベース
薄力粉 – 一般成分表|食品成分データベース
と、全粒粉の方がかなり低いことがわかります。
GI値を比較すると
- 全粒粉
-
GI値 50
- 小麦粉(薄力粉)
-
GI値90
と、食後の血糖値の上昇度を示す指標であるgi値は全粒粉がかなり低いことがわかります。
低GI食品と呼ばれる基準はGI値55以下と定められているので、全粒粉は低GI食品に分類されます。
全粒粉の栄養素による効果
全粒粉に含まれる栄養素によって、
・ダイエット効果
・血糖値の上昇を抑える効果
が期待できます。
全粒粉には食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は消化に時間がかかり腹持ちが良くなるので、余計な間食をせずに済むようになります。
gi値が低く糖質も小麦粉より少ないため、太りにくくなります。
また糖の吸収が穏やかになり血糖値の上昇もおさえられます。
食事を摂ると、食事から摂取されたブドウ糖が小腸から血液中に取り込まれ、一時的に血糖値が上昇します。
この血糖値の上昇具合が急だとインスリンが大量に分泌され、その働きにより糖を体に溜め込んでしまうようになります。
これが原因で太りやすくなるため、GI値が高い小麦粉は太りやすい食品と言われているのです。
グルテンやアレルギーに関しての違い
全粒粉と小麦粉のアレルギーに、大きな違いはありません。
全粒粉も小麦を挽いて作られているので、グルテンが含まれています。
そのため、グルテンアレルギーや小麦アレルギーの方は小麦粉と同様の症状を発症します。
デメリット・体に悪いと言われる理由
全粒粉が体に悪いと言われる理由は
- 残留農薬のリスク
- フィチン酸が含まれている
全粒粉は、残留農薬のリスクが小麦粉よりも高いです。
小麦粉では取り除かれている表皮ごと挽いているためです。
特に輸入品は、日本では行われていない「ポストハーベスト処理」と呼ばれる「収穫後に農薬を散布する手法」が行われています。
そのため『輸入品は危険』と思われてしまうのですが、残留農薬の量は農林水産省で厳しく定められた『健康に害がない数値』に抑えられています。
それでも気になる場合は、無農薬の小麦や国内で栽培された小麦が使われた全粒粉を選ぶのが良いでしょう。
参考:
残留農薬|厚生労働省
パンにグリホサートが残留していると聞きましたが、大丈夫ですか?
また全粒粉に含まれる『フィチン酸』という栄養素も、体に悪いと言われる原因となっています。
フィチン酸は本来
・抗酸化作用
・血栓予防
・貧血予防
など、健康に良い働きをする成分です。
しかし、過剰に摂り過ぎると亜鉛の吸収を妨げる働きをしてしまいます。
この亜鉛の吸収部分が注目され体に悪いのでは?と言われていますが、
日常的に全粒粉を取り入れる程度であれば問題ありません。
ただし、離乳食から鉄分をしっかり摂る必要がある赤ちゃんが食べ過ぎると、亜鉛不足してしまうリスクがあります。
離乳食として取り入れる際は、十分に注意してあげるようにしましょう
全粒粉に置き換える際のポイント・レシピ
全粒粉は
小麦粉の代わりとして置き換え可能
小麦粉で作られているパンやお菓子のレシピは全粒粉に置き換えて作ることも可能です。
ただ、「小麦粉より膨らみにくい」「小麦粉より水を吸いにくくまとまりにくい」といった違いがあります。
いきなり小麦粉で作るレシピをそのまま全粒粉に変えるのではなく、全粒粉専用のレシピを参考にするのがおすすめです。
全粒粉と強力粉のベストな割合は?
全粒粉の割合は20%が一般的
全粒粉をパン作りに取り入れる場合、
強力粉の一部を全粒粉に置き換えるのが一般的です。
全粒粉の割合が多くなればなるほど、パンが膨らみにくくなってしまいます。
パンをしっかり膨らませたい場合は、分量の強力粉のうち10〜20%を全粒粉に置き換えるのが良いと言われています。
レシピ/全粒粉入りコッペパン(ドックパン)
外はパリパリで中はフワフワ、強力粉多めで作るコッペパンレシピです。
全卵を生クリームに変更すれば更にフワフワの食感に!
朝食にもお弁当にもぴったりです。
そのままはもちろん、ホットドッグやサンドイッチに大活躍ですね。
レシピ/初心者でも大丈夫☆手ごね全粒粉パン!
このレシピには強力粉が含まれています。
全粒粉は50%使用、卵・牛乳・バター不使用のパンレシピです。
焼き立ての外はカリカリ、中はふんわり・モチモチの食感です。
全粒粉の香ばしさと素朴な味わいを楽しめます!
全粒粉と強力粉で作るホームベーカリーパンレシピ
レシピ/全粒粉入りサンドイッチパン
このレシピには強力粉が含まれています。
全粒粉は50%使用していてもふんわり仕上がり、サンドイッチによく合うパンレシピです。
ホームベーカリーに材料を入れるだけでとても簡単に作れるので、忙しい方にもおすすめです。
レシピ/朝食に♪HB早焼き★全粒粉50%食パン
このレシピには強力粉が含まれています。
全粒粉50%使用しており、香ばしさと味わい深さがたまりません!
ドライフルーツやごまなどを入れてアレンジしても美味しそうです。
冷凍保存が可能なのもうれしいですね。
レシピ:HB☆100%全粒粉メープルシロップパン
このレシピではホームベーカリーを使用しています。
全粒粉100%でもフワフワに膨らむパンレシピです。
砂糖の代わりにメープルシロップを使用しているため、小麦粉・砂糖のみ使用したパンより栄養価が高くなります。
全粒粉と強力粉のスコーンレシピ
全粒粉はスコーンと相性バッチリ
実は全粒粉はスコーンに相性の良い材料です。
全粒粉のザクザクした食感と香ばしい風味が、スコーンのサクサク感を引き立ててくれます。
レシピ/ついに完成★ザク・ふわ全粒粉スコーン★
このレシピには強力粉が含まれています。
出来たてでも冷めても美味しい!
全粒粉25%使用しており外はザクザク、中はふんわりとしたスコーンです。
簡単なのに全粒粉の香ばしさ、本格的な味と食感が楽しめます。
全粒粉と強力粉のクッキーレシピ
全粒粉のクッキーは
ダイエット中のおやつにピッタリ
全粒粉でクッキーを作ると、かためのザクザクとした食感に仕上がります。
食べ応えが出て薄力粉で作るクッキーよりも満腹感を得やすいので、ダイエット中に食べるおやつにピッタリです。
レシピ/サクボリ♪♪ノンバターで強力粉クッキー
このレシピは強力粉100%です。
バター不使用で材料はシンプル。
型も取りやすく、失敗は少なく簡単に作れます!
甘さは控えめですがザクザクでしっかりとした歯ごたえがあるので、少量でも満足出来そうです。
レシピ/全粒粉100%クッキー
卵・バター不使用で素朴な味わいが楽しめるクッキーレシピです。
ザクザクとした食感で噛みごたえも十分!
罪悪感も少ないおやつです。
ナッツやごまを入れれば、更に香ばしさを味わえそうですね。
まとめ
この記事では「全粒粉と小麦粉の違い」についてまとめました。
小麦粉は小麦の「胚乳部分のみ」を、全粒粉は小麦の胚乳・表皮・胚芽を含む「小麦丸ごと」を製粉したものです。
全粒粉は食物繊維やビタミンなどの栄養価が高いという特徴があり、健康志向の人にピッタリ。
また食感や風味にも違いがあります。
全粒粉は、クッキーやスコーンなどザクザクとした食感が楽しめるお菓子に、小麦粉はケーキなどのふんわりとしたなめらかな食感を出したいときにおすすめです。
なお全粒粉と小麦粉は置き換えが可能ですが、全粒粉はグルテンの配合量が少ないため、膨らみにくく水分量などの調整が必要になる場合も。
お菓子作りでは全粒粉用のレシピ、小麦粉用(薄力粉)のレシピを参考にしましょう。