グルテン粉とは/低糖質なパン作りに欠かせない理由
そもそもグルテンってどんなもの?
グルテンとは小麦に含まれる成分である「グルテニン」と「グリアジン」で出来た塊の事です。
小麦粉に水を加えて捏ねる事で作られるタンパク質の一種です。
またグルテン粉は小麦粉からグルテンだけを抽出し、乾燥させて粉末状にした物を指します。
私たちがよく口にするパンやうどん、パスタなど、小麦を使用して作られている食品のほとんどにグルテンが含まれています。
なぜ低糖質パンにグルテン粉が使われる?
近頃スーパーなどでよく目にする米粉や大豆粉を使用した低糖質パンにもグルテンは使用されています。
「低糖質」と聞くと「グルテンフリー」をイメージしがちですが、低糖質だからと言ってグルテンが含まれていない訳ではありません。
美味しいパンやうどんを作るためにはグルテンを欠かす事が出来ないのです。
なぜならグルテンの特徴の一つに食べ物に弾力と粘りを与える性質があります。
うどんのもちもちした食感やパンのふわっとした感触は全てグルテンが作り出しているからです。
米粉や大豆粉100%でパンを作るとパサパサとした舌ざわりになってしまいがちですが、グルテン粉を混ぜ合わせる事で低糖質パンにボリュームを持たせてふっくらと仕上げる事ができます。
グルテン粉の用途は?/グルテンをパウダー状にするメリット
グルテン粉の活用例
グルテン粉はパンやうどん、パスタ以外に、餃子の皮やホワイトソースなどの食品にも使われる事があります。
さらにはクッキーやパンケーキ、生麩や麩まんじゅうのようなスイーツにも使用する事ができます。
要するに米粉や全粒粉のようなグルテンが含まれていない粉物を小麦粉の代わりに使用する際のつなぎとして使われる事が多いのです。
グルテン粉は基本的には補助的な役割なので少量の粉で足りるのですが、生麩のようにグルテン粉をメインで使用する場合には多めの粉が必要になります。
使用用途に合わせて適量を準備する必要があります。
グルテンがパウダー状にされている理由
グルテンの一番の特徴はガムの様な伸びですが、以前は食品に混ぜ込むのが大変だったため活用法が少ないのが難点でした。
そこで考えられたのがグルテン粉です。
水を加えるだけでほぼ製粉前の状態と同じ性質になるので、グルテンを含まない食べ物の中にも楽に取り入れる事ができます。
また粉状にする事で計量しやすくなりますし、乾燥しているので室温でも腐らないというメリットもあります。
とはいえあまりに長い間室温で保存しておくとダニやカビが発生することがあるので、長期保存をする場合には冷蔵庫にしまいましょう。
グルテン粉はどの小麦粉から抽出できる?
小麦粉の種類〜グルテンを多く含む小麦粉とは
グルテン粉は小麦粉からグルテンだけを抽出した粉で、グルテン自体は誰でも簡単に取り出す事ができます。
小麦粉の中でもグルテンの含有率が多いのは強力粉(11.5〜13.0%)で、次に中力粉(8.0〜9.0%)、そして薄力粉(6.5〜8.0%)となります。
グルテンは強力粉の原料となる硬質小麦から分離される事が多いのです。
グルテンの量が多いほど食品に使用した際に弾力や粘り気が強くなるので、強力粉はしっかりとした噛み応えのあるパンによく使われます。
薄力粉は軽い食感のクッキーやふんわりとしたスポンジケーキに向いています。
それぞれの特徴を認識した上で使い分ける事が大切です。
グルテンの取り出し方
ボウルに小麦粉100gと水またはぬるま湯50ccを入れ、手の平でまとまるようになり、表面が滑らかになるまで捏ねます。
ひとまとまりになったら別のボウルに水をたっぷり加えて水の中でゆっくり揉んでいきます。
揉み続けると白い粉が溶け出して塊が小さくなっていき、水が濁るので5〜6回水を変えながらさらに生地を揉みます。
水が濁らなくなるまで揉むとクリーム色の塊が残ります。
これがグルテンです。
このように小麦粉に水を加えて捏ねると、小麦粉の中の2種類のたんぱく質が水と結びついてグルテンになります。
従ってグルテンをたくさん作りたい時にはひたすらよく捏ねる必要があります。
グルテン粉に違いってあるの?/原産地やメーカーによって違いがある
主役にもなり得るグルテン
パンや麺、ハンバーグなどのつなぎとして使用される事の多いグルテン粉ですが主原料として使用される場合もあります。
例えばグルテンから麩を作る事ができます。
さらに醤油や酵母エキスなどで味付けをして肉状に加工すると、グルテンミートという食べ物になります。
戦時中には小麦粉を練った塊から抽出されたグルテンがチューイングガムの代わりとして食べられていました。
原産地やメーカーによって異なる性質
昨今スーパーやパン屋などで国産小麦使用の文字を目にする事が多いですが、まだまだ外国産小麦粉及びグルテン粉が大半を占めているのが現実です。
外国産グルテン粉と国産グルテン粉の大きな違いはタンパク質が含まれる量と質です。
外国産グルテン粉は国産グルテン粉よりもタンパク質が多く含まれています。
ふっくらモチモチとした仕上がりを目指す場合は外国産グルテン粉を、もっちりとした重めの食感がほしいときは国産小麦を使用すると良いです。
またメーカーによって原料となる小麦の種類やグルテンの製法、水分の量が異なりますので添加した食品の仕上がりにも違いが出てきます。
一般的なグルテン粉には含まれていませんがメーカーによっては麦芽糖を配合しているものも販売されています。
糖質制限をしている方はしっかりと成分を確認する事が大切です。
グルテン粉の代わりになるのは?/5つの粉について特徴・用途紹介
(1)片栗粉
現在流通している片栗粉はじゃがいもから取れる馬鈴薯でんぷんから作られています。
唐揚げやフライ、ソテーといった小麦粉をまとわせるような料理ならば片栗粉でほぼ代用する事ができます。
片栗粉ではふんわりとした食感を出す事ができないので、ケーキなどのお菓子を作る際の小麦粉の代用として使う事はできません。
(2)米粉
米粉はお米を粉にしたものです。
だんごや餅、羊羹などのお菓子に使われてきましたが、現在ではパスタやクッキー、ケーキなど幅広い食品に米粉を使用できるように研究が進められています。
米粉は水に溶けやすくダマになりづらいので、料理にも使いやすいという利点があります。
また揚げ物の衣として使用した場合は小麦粉と比べて15%程油の吸収率が少なくなるため、高カロリーになりがちな揚げ物もヘルシーに楽しむことができます。
(3)コーンスターチ
コーンスターチはトウモロコシを原料とするでんぷん粉です。
無臭で粒子が細かくサラサラとした白い粉末状です。
見た目は片栗粉と似ていて質感もそっくりですが用途は少し違います。
コーンスターチはプリンなどお菓子を作る際によく使用され、小麦粉の代用としても活躍します。
例えばカスタードクリームを作る際小麦粉を使用した場合には重めな仕上がりになりますが、コーンスターチの場合は滑らかなクリームになります。
(4)コーンミール
コーンミールとは乾燥させたトウモロコシの胚乳部分を粒状にしたものです。
トルティーヤやパン、アメリカンドッグの生地などにも使われ、主食として食する国もあります。
ほんわりと甘い味わいが特徴です。
小麦粉と比べると粒子が大きいので、代用した場合ざらりとした食感になります。
(5)そば粉
そば粉はそばの種実を粉砕して作る粉です。
ビタミンB群やルチン、アミノ酸、ミネラルまで含まれておりとても栄養価が高いと言われています。
ガレットやクッキー、マフィンなどのお菓子に使用する事もできます。
そば粉には粘り気の素になるペクチンという成分が含まれていますがグルテンのように結合が強くないので粘り気もさほど出ません。
そば粉を小麦粉の代替えとして使用する場合時には薄力粉として使う事が推奨されます。
この他にも小麦粉アレルギーなどでグルテンを避けたい場合に代用品となるものがいくつかあります。
しかしそれぞれに異なる特徴がありますので、用途をしっかりと認識した上で代用する事が大切です。
グルテン粉は業務スーパーで購入できる?/楽天やAmazonで注文した方が確実
グルテン粉は店舗で探すのは困難?
米粉や大豆粉でパン作りをする場合に必須となるグルテン粉の取り扱いは、店舗によって異なります。
業務スーパーには置いていない場合が多く大型店舗でも取り扱っている店舗はほとんどありません。
小麦グルテンに関してはスーパーでも市販されている事が多いようですが、やはり店舗によってバラつきがあるため一概には言えません。
製菓材料専門店や輸入食品店では取り揃えている店舗が多くありますので、入手したい場合は事前にお店に確認するのが確実です。
インターネットを活用しましょう
最も早く簡単にグルテン粉を入手できる方法はやはり通販サイトです。
大手通販サイトでは、小麦グルテン粉関連の品物が1万点以上も取り扱われています。
店舗に探しに行って欲しいタイプのグルテン粉が見つからなかった場合無駄足になってしまいます。
しかしインターネットであれば自宅でワンクリックで購入できますし、到着を待つだけなので簡単に入手する事ができます。
また店舗では取り扱っていても1〜2種類程度がほとんどですが、インターネットであればバリエーションが豊富です。
用途にあった品物をすぐに見つける事ができます。
小麦粉に含まれるグルテンの成分とは/主成分の特徴について
パン作りに欠かせないグルテンの働き
小麦粉に少量の水を加え練り続けるとチューイングガムのような塊が出来上がります。
これがグルテンです。
パンの膨らみや麺のコシを作り出すためにグルテンは必要不可欠な成分です。
例えばパン作りの際には薄い膜を作って発酵するガスを防ぎ、パンが膨らむ手助けをします。
そのグルテンの形成は小麦粉の種類や水の量、練り方の影響を大きく受け変わっていきます。
そのため同じ小麦粉を使い同じ水の量で作ったとしても、機械で捏ねた場合と手で捏ねた場合ではグルテンの構造が変わります。
その結果がパンの膨らみやうどんのコシに繋がっていくのです。
グルテンの主な成分
グルテンはグルテニンとグリアジンという不溶性のタンパク質から成り立っており、小麦全体の成分の約80%を占めています。
この2つの成分はグルテンの品種にもよりますが、ほぼ等量ずつ含まれています。
グルテニンはそれ単体では弾性に富み引っ張るのにかなり力が必要で、伸びにくい性質があります。
一方グリアジンは単体ではネバネバしていて粘着性が強く、伸びやすいですが弾性は弱いという特徴があります。
グルテンはこの2つの性質を兼ね備えているため弾粘性があります。
水を加えて捏ねた生地を引っ張る時には力を入れる必要がありますが、ちぎれる事なく生地を伸ばす事ができるのです。
この2つの成分は小麦粉にのみ含まれているもので、パンやうどん、ピザ生地などを私たちが自由に成形できるのもこの成分のおかげです。
ふすま粉とグルテン粉の違い/ふすま粉の特徴・用途について
ふすま粉の特徴
ふすま粉とは小麦の一番外側の表皮部分を製粉した小麦色の粉で、小麦ブランと呼ばれる事もあります。
ふすまは小麦を製粉して小麦粉にする際に取り除かれる部分で昔から家畜の肥料として使われていました。
ふすま粉と似たものに全粒粉がありますが、こちらは小麦を丸ごと製粉したものです。
ふすま粉は成分的に小麦粉と同じような使い方をする事ができ、熱を加えると香ばしい香りがするため、お菓子やパンに使われる事が多い材料です。
その他にもヨーグルトやアイスにかけて食べたり、ハンバーグなどのたねに混ぜ合わせる事で食物繊維などの栄養素をプラスする事が出来ます。
グルテン粉と同じくスーパーなどで見かける事はあまりないですが、製菓材料専門点やインターネットでは簡単に手に入れる事ができます。
ふすま粉ってこんなにすごい粉!
ふすま粉は小麦粉に比べて糖質が少なく低カロリーな材料として知られています。
ある調査では市販のパンよりも最大90%も糖質を抑える事ができるとも言われています。
また食物繊維やマグネシウムだけでなく、ビタミンやカリウム、亜鉛も豊富に含まれています。
食物繊維は100g中50gも含まれておりこれは小麦粉の約4倍もの量になります。
ふすま粉に含まれるものは水に溶けにくい不溶性食物繊維と呼ばれ、腸内環境を整えつつ中性脂肪の増加を防ぐ働きもするため、健康志向の方に注目されています。
さらにグルテンが含まれていないので、グルテンアレルギーの方も安心して召し上がる事ができます。
ふすま粉とグルテン粉は何が違うのか?
グルテンは小麦の胚乳部分に含まれているため、表皮部分のみを製粉して作るふすま粉には含まれていません。
そのためふすま粉のみを使用してパンを作ると、みっしり、しっかりした噛み応えのあるパンになります。
一方でグルテン粉のみでパンを作ってしまうと膨らみすぎてしまってうまく成形ができません。
ふすま粉にはグルテン粉よりも健康維持に必要な栄養素が多く含まれているため、ヘルシーな食事を目指す方にはうってつけの材料なのです。
「グルテン粉」についてまとめ
ソースのとろみづけやパンのつなぎなどに使われるグルテン粉。
この記事ではグルテン粉についてまとめました。
特にパンが膨らむためにはグルテンが重要な働きしているので、小麦粉以外の粉でパンを作ると膨らみにくいデメリットがあります。
そこでグルテン粉を混ぜることで、小麦粉を使わずにパンを膨らませます。
小麦粉を使わなくてもグルテンが入るのでグルテンアレルギーの方は食べられませんが、小麦粉アレルギーでグルテンは平気、という方が食べられるパンを作ることができます。
また、小麦粉よりもヘルシーで低糖質な材料でパンを作りたいときにも活躍します。
ダイエットや低糖質が目的で小麦粉を食べない生活をするなら、グルテン粉の利用も検討してみてはいかがでしょうか。