グルテンとは/体への影響や健康との関連、アレルギーと体調不良

目次

グルテンとは/健康にどんな影響があるのか

グルテンとは何か

小麦粉を使った食物に含まれているグルテンは、小麦製品の美味しさの元になっています。またもちもちとした食感や粘りを出す働きもしています。
小麦粉には加水してこねると「グルテニン」と「グリジアン」というたんぱく質が結合し、「グルテン」に変化するという性質があります。
小麦製品の美味しさの元になっているグルテンはよくこねることで、きめの細かい美味しいパンなどを作ることができます。

しかし近年ではグルテンが体にもたらす影響も懸念されています。
グルテンフリーという言葉がよく聞かれるようになり、グルテンを含まない製品が多く販売されるようになりました。
グルテンが入っていることによる体への影響とはいったいどんなものなのでしょうか。

グルテンが体にもたらす影響

グルテンは小麦アレルギーの元になっていると言われています。
小麦アレルギーを持つ人はグルテンフリーの食品を選ぶように気を付けていますが、強いアレルギーを持たない人でもグルテンを摂取するとなんとなく不調になる人がいます。
小麦製品を食べるとなんとなく肌の調子が悪い、消化不良、便秘気味になる人がいます。
そういった人がグルテンフリーの食生活に切り替えたことで体調が良くなった例もあります。

では、グルテンはそんなに体に悪いものなのかというとそうでもありません。
「食品安全委員会」によればグルテンが体に悪影響をもたらすという科学的根拠はありません。
その人の体質によって合う合わないがあるということです。

グルテンとは/グルテンに関わるアレルギー症状

小麦アレルギーについて

食物アレルギーの中で鶏卵、牛乳に次いで3番目に多いのが小麦アレルギーです。
子どもの頃に発症する場合も多く、成長するにつれて治る場合もありますが逆に大人になってから発症する場合もあります。

人間の体には外から細菌やウイルスなどの異物が入った際に「抗体」を作ってそれらを排除しようとする働きがあります。
それを「免疫」と呼びますが、アレルギーのある人は本来排除しなくても良いものにまで過剰に反応してしまう場合があります。
それがアレルギー反応を引き起こしてしまうのです。

グルテンによるアレルギー症状

グルテンは小麦などの穀物に含まれるタンパク質であり、それが様々なアレルギー症状を引き起こす原因と言われています。
発疹や目の痒み、アトピー性皮膚炎などのわかりやすいアレルギー症状もあれば、なんとなくだるい、お腹の調子が悪い、肌荒れなどのわかりにくい症状もあります。

グルテン不耐性では過敏性腸症候群とよく似た症状が表れ消化不良などの症状が表れる場合があります。
セリアック病とグルテン過敏症の場合はグルテンが腸に悪影響を与え、栄養素の吸収を妨げることがあるのでグルテンを含む食品は避けなければなりません。

これらのアレルギーは日本人には少なく白人女性に多いと言われています。

グルテンアレルギーがもたらす影響

はっきりとしたアレルギー症状が出ない場合にその倦怠感や消化不良の症状がグルテンによるものと気付くことはなかなか難しいかもしれません。
しかし、長期でグルテンアレルギーが続くと必要な栄養素の吸収が疎外され、貧血や低体重、無月経、疲労感や思考力の低下などの辛い症状がみられる場合があります。

原因不明の気になる症状が続く場合は消化器内科などを受診してみるのも良いでしょう。
もしグルテンが原因と判明すればグルテンフリーの食生活を続けることで不快な症状は改善されるでしょう。
継続してグルテンフリーの生活を続けることが大事です。

グルテンとは/体調不良は「過敏症」の可能性

グルテン過敏症とは

グルテンを分解しにくい体質の人は、グルテンを含む食品を食べると体調が悪くなることがあります。
症状は肌荒れや消化不良、貧血、倦怠感など多岐に渡ります。
小麦アレルギーもグルテンに反応して起こるアレルギーではありますが、こちらは肌の痒みや目の痒みなどわかりやすい症状が早い段階で出てきます。

それに対してグルテン過敏症は後で症状が出る場合が多いので、原因不明の体調不良がグルテンのせいだと気付きにくい場合が多いのです。
最近ではグルテンフリーというワードがよく聞かれるようになりましたが、グルテンを抜いた食生活を送ることによって改善される場合もあります。

グルテン過敏症は気付きにくい

グルテンによるアレルギー症状はすぐに症状が出ない場合が多いので、なかなか気付きにくいのが特徴です。
ただしこの症状を放っておくと様々な体への悪影響が出てしまいます。
子どもの頃にグルテンによる下痢などのアレルギー症状があった場合には、大人になるに連れて胃腸が丈夫になれば改善される場合もあります。

しかし大人になってからグルテン過敏症を発症する場合もあるので注意が必要です。
原因不明の体調不良がしばらく続く場合は医師の診断を受けた方が良いでしょう。

グルテンとは/タンパク質から作られる物質

グルテンはタンパク質の一種

お菓子作りやパン作りの際に小麦粉に水を混ぜてこねると弾力や粘りが出てきます。
これはグルテンの働きによるものです。

グルテンとは「グルテニン」と「グリアジン」という二種類のタンパク質から出来ています。
「グルテニン」は細長い形状のタンパク質で、水を加えて混ぜることでより長くなり網目のような生地になります。「グリアジン」は粒状のタンパク質でグルテニンの網目の間に入り込み、生地に弾性をもたせる役割を果たしています。
この二種類のタンパク質が小麦製品の美味しさの基になっているのです。

グルテンは美味しさの元

グルテンは小麦を使った食品に欠かせない役割を担っています。
パンのふんわりした感じや麺類のもちもちした感じやコシを出しているのは生地に含まれているグルテンのおかげなのです。
グルテンが含まれていないと膨らみが悪く食感の悪いパンになってしまいます。

また小麦粉の種類によってグルテンの含有量が違うことも知っておくべき必要があります。
例えば小麦粉よりも強力粉の方がグルテンが多く含まれています。
そのため水を混ぜてこねた時の生地の弾力は強力粉の方がはるかに強いのです。

パンやピザ生地やナンなどには強力粉が使われることが多いです。
強力粉を使うことにより、もちもちとした食感が楽しめるのです。
そのため作るパンやお菓子の種類によって小麦粉や強力粉を使い分けることで、より美味しいお菓子やパンが出来上がるでしょう。

グルテンとは/デンプンとの違い

小麦に含まれるグルテンと小麦デンプンはどちらももちもちと食感を出すのは一緒ですがそれぞれ性質が異なります。
グルテンは小麦と水をこねることで出来上がるタンパク質で、小麦デンプンは主に炭水化物からできています。

デンプンは穀類、イモ類、根、幹、豆類にも含まれています。
コーンスターチや馬鈴薯デンプン、タピオカデンプンやわらび粉、緑豆なども聞き馴染みがあります。
グルテンの性質はもちもち食感が特徴なのでパンやパスタに活かされます。

一方で小麦デンプンは増粘剤としての性質を活かして様々な食品に使われています。
例えばゼリーやマシュマロなどです。
ゼラチンとしての役割で医療や介護現場の食事などにも活用されています。

グルテンとは/小麦粉の種類による違い

小麦製品の食感の違い

例えばパン一つとっても柔らかいパンもあれば噛み応えのあるパンもあります。
同じ小麦から出来ているのにその食感の違いはどこからくるのでしょうか。

グルテンには粘りとコシ、弾力を出す働きがあります。
それぞれの小麦製品に含まれるグルテンの量が多ければしっかりと噛み応えのある食感になり、少なければ柔らかくなります。
作る食品の種類によってグルテンの含有量が異なる粉を使うことで食感の違いを出すことができるのです。

一般的に私たちが料理などによく使う小麦粉は薄力粉がほとんどです。
パンを焼く時には強力粉を使うことが多いです。

粉の違いによるグルテン量の差

小麦粉には強力粉と中力粉そして薄力粉の3種類があります。
この中でグルテンの量が一番少ないのは薄力粉です。
軟式小麦から作られています。
グルテンの含有量は6.5%〜8.5%で粒子が細かいのが特徴です。
主な用途は揚げ物の衣やケーキ、クッキーなどのお菓子作りに使われます。

次にグルテン量が少ないのは中力粉です。
軟質小麦と中間質小麦から作られています。グルテン含有量は8.5%〜10.5%です。
うどん粉と呼ばれることもありその名の通り麺や餃子の皮などに使われます。

そして強力粉はグルテン含有量が一番多いのが特徴です。
硬質小麦粉から作られています。
グルテン含有量は11.5%〜13%です。
粘りが一番強いためパン作りや中華麺などに使われています。

グルテンとは/薄力粉はグルテン量が少ない

一般的に小麦粉というと薄力粉のことを言います。
私たちが普段料理やお菓子作りに使うのはこの薄力粉です。
薄力粉はグルテン含有量が少なめです。
グルテンが少ないため水を加えてこねても粘りや弾力が出にくいという特徴があります。
また粒子が細かく仕上がりがキメ細かくしっとりするのも特徴です。

ただしグルテンの量が少ないほどダマになりやすいという特徴もあります。
そのためグルテンの量が多い粉の方がサラサラしていて扱いやすいのですが、食感が大事なケーキ作りやクッキー作りなどには薄力粉を使う方が良いでしょう。
手間がかかりますが、粉をふるうことでダマになりにくくキメの整ったスポンジケーキを焼くことができます。
また揚げ物の衣などにもよく使われます。

グルテンとは/グルテンアレルギーでも食べられる米粉パン

小麦アレルギーの人におすすめ米粉パン

近年グルテンフリーという言葉をよく耳にするようになりました。
小麦アレルギーの人だけではなくグルテンが体に及ぼす様々な不調が注目されるようになったからです。

そんな中米粉を使ったパンが人気です。
米粉はお米から作られておりグルテンを含んでいません。
食生活の変化で主食にパンを食べることも多くなった昨今、小麦アレルギーの人は食べる物にも気を使わなければいけません。

また米粉はパンだけでなく様々なお菓子作りにも使われています。
たくさんのレシピも発表されており自分でパンやお菓子を手作りする人も増えています。

米粉パンは全てグルテンフリーとは限らない

各メーカーから数多くの種類の米粉パンが発売されており、米粉もスーパーで簡単に手に入るようになりました。
しかし全てがグルテンフリーとは限りません。

小麦に含まれるグルテンにはパンをふっくら膨らませる役割があります。
そのためグルテンが含まれていない米粉パンは少し膨らみが悪く硬くなりやすいのです。それを改善するため米粉専用に栽培されたお米で作った米粉が開発されています。
この米粉を使えば、グルテンフリーでも硬くなりにくいもちもちとした美味しい米粉パンを焼くことができるのです。

もっちりふわふわ米粉100%パン

もっちりふわふわ米粉100%パンの画像(引用:cookpad)
引用:cookpad

このレシピではグルテン入りの米粉を使用しています。
モチモチの食感やお米の風味がたまらない!
発酵は1回だけなので、普通のパンより簡単に早く作ることができます。
形を変えてアレンジもできます。

詳しいレシピを見る(cookpad)

米粉100%蒸しパン:アレルギー対応

米粉100%蒸しパン:アレルギー対応の画像(引用:cookpad)
引用:cookpad

卵・牛乳・小麦不使用でアレルギーの方も安心して食べられる蒸しパンです。
さつまいもの他にも、小豆やすりおろしたニンジンなどでも美味しくアレンジできます!
蒸しパンは失敗も少なく、簡単にふわふわに仕上がります。

詳しいレシピを見る(cookpad)

「グルテンとは」についてのまとめ

小麦粉製品に含まれているグルテン。
この記事ではグルテンについて、特徴や健康への影響、アレルギー症状などをまとめました。

グルテンは小麦に水を加えてこねることで生成され、パンをはじめとした小麦製品の美味しさの元にもなっている大切な成分です。
しかし、グルテンが体質に合わないことが原因で引き起こされる不調についても注目されており、グルテンフリーを実践する人も増えています。

グルテンは美味しいさの元でありグルテン自体が健康に悪いという根拠はありません。
体質に合う合わないがあるので、グルテンフリーを実践してみて初めてグルテンが合わないことに気付けたというケースも多いようです。

自分の体質とグルテンの特徴を知って、上手に付き合うことができるのが理想でしょう。

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