グルテンの構造/グルテンは小麦粉の粘り気のもと
小麦粉には含まれているたんぱく質の量によって強力粉や中力粉、そして薄力粉があります。
たんぱく質が大きいものは粘り気や弾力性が高いという特徴があります。
これはたんぱく質の中にグルテンが含まれているために起こる現象です。
小麦粉を選ぶ際には何に使うのかを考えたうえで適切なタイプを選びましょう。
粘り気や弾力性が少ない薄力粉は、クッキーやケーキなどのお菓子類に適しています。
粘り気が中度の中力粉は、うどんや餃子の皮におすすめです。
強力粉は、ピザ生地やパン、中華麺などに多く使われています。
薄力粉に含まれるグルテン量は品種によって異なりますが6.5%から8.5%程度です。
中力粉になると含有量が増え、8.5%から10.5%のたんぱく質を含みます。
強力粉になるとたんぱく質の含有量は11.5%から13%程度と多くなります。
グルテンの構造/タンパク質の種類と性質
グルテンを作るグルテニンとグリアジンとは?
グルテンはグルテニンとグリアジンという二つのたんぱく質が水を加えて混ぜることによって結合し、グルテンを形成します。
どちらのたんぱく質も水に溶けないという共通の性質があり、形成されるグルテンとよく似た構造をしている点が特徴です。
グルテンが形成されるメカニズム
小麦粉に水を加えてこねると、バネのような細長い形をしたグルテニンが互いに絡み合います。
その網目の部分に粒状をしたグリアジンが入り込み、隙間を埋めながらシート状のグルテンを作ります。
どちらか一方が欠けてもグルテンは生成されません。
グルテンはグルテニンとグリアジンの結合体
グルテニンとグリアジンは、小麦粉が乾燥している状態では粉の中に共存しています。
しかし水を加えてこねるとそれぞれが水を吸収しながら絡みつき、網目状につながります。
これが小麦粉の弾力性となります。
その際にはほかの成分をつなぐ作用もしています。
この作用が多くの調味料にグルテンが使われる理由となっています。
力が加わると形を変える柔軟性
グルテンには力を加えると形を変える性質があります。
小麦粉をこねながら薄く伸ばしたり成形しても形が戻らないのは、この性質によるものです。
力に反発して戻ろうとする弾性
グルテンには力に反発して戻ろうとする性質もあります。
これはグルテンの弾性となります。
小麦粉を水でこねても弾性がなくならないのは、この反発しようとする力によるものです。
伸ばして折りたたむ動作でキメ細かいなめらかな生地になる
きめ細かく滑らかな生地を作るためには、小麦粉をこねる際に生地を伸ばして折りたたむ作業を何回も繰り返す作業が必要です。
規則的な動きによってグリアジンを規則的に並べることができ、ほかのグルテニンと結合しながらより長いバネを作ります。
こうした膜が何重にも重なることによって、なめらかできめ細かい生地へと仕上がるのです。
グルテンの強度は様々な条件で変わる
グルテンの強度を決める要素は複数あります。
小麦粉に含まれているたんぱく質含有量によって変わりますし、水分量によっても影響があります。
味付けなどほかの物質を配合すると、グリアジンに絡みつく物質が多くなることで強度にも影響が出ます。
グルテンの構造/塩は生地形成に影響する
コイル状のタンパク質が強い相互結合した網目構造がグルテン
グルテンとは、弾力性が高いグルテニンとコイル状をしてよく伸びる性質を持つグリアジンが、絡み合うことによって網目構造を作っている状態です。
この2つのたんぱく質成分が絡み合ってグルテンを形成するためには、水が必要です。
小麦粉に水を加えてこねることによって、両者が互いに絡み合って網目を作ります。
こね続けるとコイル状のグリアジンが規則正しく並び、さらに多くのグルテニンと絡み合うことによってきめ細かな網目構造となります。
塩はグルテンの網目構造を強化
小麦粉の生地をこねる際には塩を少量加えます。
塩は小麦粉に風味を加えるだけでなく、グルテンの網目構造を強化する役割も持っています。
塩はグルテンというたんぱく質を変性させる作用があり、これがグルテンの形成を助けます。
塩を加えると発酵調整が簡単になる
小麦粉生地に塩を加えることは発酵過程でもプラスの効果があります。
生地の発酵では、酵母菌の発酵を阻害するピュロイチオニンという微量物質が邪魔をします。
しかし塩を使うことによって発酵阻害物質が抑制されます。
また塩は発酵によって生じるガスを内側にためる働きもあるため、大きく膨らみやすくなります。
グルテンの構造についてまとめ
この記事では「グルテンの構造」についてまとめました。
グルテンとは「グルテニン」と「グリアジン」という二つのたんぱく質に、水を加えて混ぜることで出来上がる、たんぱく質のことを言います。
グルテンの構造は、弾力性が高い「グルテニン」と、よく伸びる性質を持つ「グリアジン」が絡み合うことによって網目構造を作っているのが大きな特徴です。
さらに塩を少量加えることで、この網目構造が強化できます。
そしてグルテンの強度は、小麦粉に含まれているたんぱく質の含有量や、小麦粉に加える水分量によっても異なります。
グルテンの含有量について小麦粉の種類別で見てみると、薄力粉で6.5%~8.5%、中力粉で8.5%~10.5%、強力粉では11.5%~13%が目安となります。
グルテンの含有量が多くなるにつれて、粘り気や弾力性が高くなります。