ここでは「意外と知られていない」小麦粉を調理する際の注意点や保存方法について紹介します。
「加熱」を十分にしよう!
パンやお菓子作りをしていると、「味見で生地のままで食べてしまった」という経験はありませんか?
小麦粉は小麦を挽いて作られる「生の食品」で、非加熱の状態で食べることを想定していません。
小麦粉には、農場で収穫される際に微生物などが付着したり、製粉工程中に細菌が繁殖したりしている場合があります。
基本的に小麦粉で作られた食品は、加熱することによって「殺菌」されるため、焼く・揚げるなどして十分に加熱することが大切です。
生の小麦粉を食べるとなぜ危険なの?
小麦粉を加熱せずに食べると、どんな健康被害があるのか詳しく見ていきましょう。
消化不良
小麦粉には「でん粉」が含まれていますが、非加熱の状態では水を含みにくく、分解されにくい状態です。
小麦粉に水を加えても、よく混ぜないと溶けないということでイメージしやすいですよね。
分解されにくい=体内では消化されにくいということになるため、消化がスムーズにいかずに腹痛や下痢を引き起こす場合があります。
小麦をきちんと加熱すると、でん粉の性質が変わり、消化されやすくなり、粘り甘みもでてきます。
食中毒
アメリカやカナダなどの海外では、小麦粉の非加熱によって「食中毒の集団感染」が発生しています。
未加熱の小麦粉には、大腸菌やサルモネラ菌などの病因微生物を含んでいる可能性があります。
生の小麦粉や生地など食べたり、味見をしたりするのはもちろんのこと、触って他の未加熱の食品に触れないように気をつけることも大切です。
生焼けしている?パンのチェック方法
パンが生焼けになっていないか、チェックする方法を見ていきましょう。
- 焼き上がりのパンの底が真っ白
- パンをカットすると中身がねっとりしている
- 竹串でパンを刺した時にスッと抜けない
生焼けかどうかは実際には食べてみないと分からない面もありますが、焼き上がりの状態を確認したり、竹串を使用したりしてチェックするとよいでしょう。
もし生焼けのパンになってしまったら、パンにアルミをかぶせて、オーブンなどで焼き直しましょう。
小麦粉の保存方法にも気をつけよう!
小麦粉は常温での保存が適しています。
直射日光を避け、高温多湿ではない場所に置くことがポイントです。
チャック付きの商品を選んだり、密閉できる容器に入れたりするなど、虫の侵入を防ぐことも大切です。
<参考>
一般財団法人 製粉振興会「小麦粉の上手な選び方・使い方・保存方法」
内閣府食品安全委員会「未加熱の生地について注意喚起」
独立行政法人農畜産業振興機構「加工デンプンの特性と食品への利用法」